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エントランスを入ってすぐに広がるワードローブは、玄関・洗面・水回りを兼ねており、帰宅/外出の際の生活動線としても機能的な計画とした。店舗にもホテルにも見える、深いブラウンでまとめた空間は、GUBIのミラー、桧脚にマーブルの天板を乗せた化粧台、ウールのカーペットなどで設え、既存建具にリブ材を張った壁面はベンガラ塗装とした。
ワードローブを通り、ブラウンガラスを抜けた先には明るく開放的な空間。ここではワードローブとは対比的に、衣服を脱ぎ去って裸のまま過ごせるよう計画した。キッチンと一体になった大きなテーブルは極小のモザイクタイル張りとし、ハードボードや無塗装のペン下クロスなど、手触りのあるマテリアルを中心とした。木部はMDFに柿渋塗装とし、経年変化もまた楽しみである。
計画初期の段階では衣類の収納用に大きめのクローゼットがあれば良いという要望だったが、「ワードローブ」として生活の中心に据えることで、このクライアントとしかつくり出せない場所となった。
ここでゆったりと時間を過ごすこともあるそうだ。また、何年も埋もれていた衣服を再発見し、新しい組み合わせで着る楽しみも生まれたという。Yさんが20年以上に渡って集めてきた衣服や小物をただ保管するだけなく「選ぶ楽しみ、片付ける楽しみ、さらにはコレクションと時間を過ごす楽しみ」を享受できる住まいである。
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