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海と書斎
House renovation in Shonan, KANAGAWA

 

 

湘南にある、海の見えるマンションの一室のリノベーション。
クライアントは夫婦と犬と猫で、これが2度目のリノベーションである(1度目は菊嶋が前職で担当)。その経験値を活かして、仕事とプライベートの切替えができること、犬と猫と人が快適に暮らせること、落ち着きと暖かみのあるオーセンティックな設えであることを要望された。

 

メインの窓からは太平洋を望む。

しかし、いわゆる海辺の家のように開放的な半屋外で海に依存して暮らすような性質ではなく、むしろ海は見えるけれど少し距離があって、部屋と海が並置されているような関係が、この場所の特殊性だと考えた。
凪いでいる時も荒れている時も、海は海、家は家、隣り合わせの対等な関係である。

 

海に対比し、この住戸全体を「書斎」と位置付けた。
経験と知の集積、乾いた紙の束。暖かく乾いていて守られた場所の象徴である書斎が、広大で湿潤な海と並置されている。
リビングスペースを中心に蔵書棚や仕事場、犬・猫のための場所など各機能の重なりと分節をシンプルにまとめつつ、いつどの場所にいても常に海を感じながらも安心できる空間を目指した。

 

平面計画

「海を見るためのLDK」これはおそらくこの建物の設計時からかなり意識されていたであろうポイントだが(このマンションのデザイン監修は鈴木エドワード氏である)、今回の計画では、さらにどの場所からも海が見えることを企図した。あえて寸法と照明を絞った玄関廊下からのぞむ海は眩しく、期待感を高めてくれる。また、北側のスタディルームに設けた室内窓からは寝室(犬と猫のためにドアは常に開け放してある)とLDKをスルーした先に海を遠望できる。仕事の合間、ふとした瞬間に意識が海に抜けていくのは最高の贅沢である。
本棚と一体化したキャットステップや、清掃性を考慮したドッグスペースなど、犬と猫と快適に暮らす工夫も、クライアントと一緒に考えた。

 

素材
海に対して「木」と「砂・土」をメインマテリアルとした。南側の海を眺めたとき室内は逆光となるため、壁や天井は逆光線がなめた時に影が凹凸を作り表情が出る素材を選定した。

不動産価値
将来的に物件をリセールすることも視野に入れたいとの要望に沿い、各スタディルームを個室と表記できるように計画し、リセール時の検索性にも配慮した。

230315_辻堂_広報図面.jpg

用途|住宅
敷地|神奈川県湘南
構造|RC造 / 既存建物
床面積|74.61㎡
設計期間|2022.08 - 2022.10
工事期間|2022.11 - 2023.02

設計|knof
施工|DAY'S
担当|山崎大輔
照明計画|株式会社モデュレックス 
担当|吉田剛士 高澤楓 福村健太

写真|児玉晴希 ▶︎web

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